基礎・用語解説

原価率とは?サロンの材料費の考え方と目安をやさしく解説

9分で読める

サロンの原価率は「材料費が売上の何割か」を見る数字です

サロンの原価率とは何か、美容室・ネイル・まつ毛などの材料費の考え方と目安を、利益を残す視点でやさしく解説します。原価率=売上に対して材料費がどれくらいかかっているかを示す割合(パーセント)のこと。言葉は知っていても「で、うちは何%なら大丈夫なの?」で止まりがちな数字です。

結論を先に言うと、原価率は「材料費 ÷ 売上 × 100」で出せます。難しいのは式ではなく、何を材料費に含めるかと、出した数字をどう読むか。ここを手順で示します。

この記事でわかること

  • 原価率とは何か、計算式と架空サロンの具体例
  • サロンの材料費に「入れるもの・入れないもの」の線引き
  • 原価率の目安の考え方と、利益を残すための見方

結論:原価率は「材料費 ÷ 売上 × 100」で出します

先に答えです。サロンの原価率は、次の1本の式で計算できます。

原価率(%)= 材料費 ÷ 売上 × 100

たとえば、ある月の売上が50万円で、施術に使った材料費が5万円なら、5万 ÷ 50万 × 100 = 10%。これがその月の原価率です。

ここでいう「材料費」は、施術に直接使う消耗品のこと。カラー剤・パーマ液・シャンプー(業務用)・ネイルのジェルやチップ・まつ毛のグルーやエクステ毛・エステの化粧品などです。家賃や人件費は材料費に入れません(後述します)。

原価率は、低ければよいというだけの数字ではありません。売上のうち、どれだけが材料に消えているかを知り、手元に残るお金を増やすための「材料の使い方の健康診断」と考えると分かりやすいです。


なぜサロンで原価率が大事なのか

原価率を見ないままだと、こんな場面で困ります。

たとえば「忙しいのに、なぜかお金が残らない」。よくある原因のひとつが、材料費がじわじわ膨らんでいることです。カラー剤を多めに出して余らせる、安いからとまとめ買いした薬剤を使い切れない、メニュー価格を上げないまま材料の仕入れ値だけ上がっている——こうした小さなズレは、原価率を出さないと気づけません。

原価率は、客単価(お客様1人あたりの平均会計額)とセットで見ると効きます。客単価が同じでも、原価率が高ければ手元に残るお金は少なくなります。逆に、原価率を1〜2%下げられれば、それはそのまま利益に乗ります。

また原価率は、損益分岐点(赤字と黒字の境目になる売上)を考えるときの土台にもなります。材料費は売上に連れて増える「変動費」の代表で、ここが分かると「あといくら売れば赤字を抜けるか」の計算につながります。経営の数字を整理したい方は、まとめ役の経営で見るべき数字の入門もあわせてどうぞ。


出し方・計算・目安(手順)

① 計算式に数字を当てはめる(架空の例)

まず式に数字を入れてみます。以下はすべて架空の例で、実在のサロンの集計値ではありません。自店の数字に置き換えてお使いください。

架空のネイルサロンC(ある1か月)の場合:

項目数字説明
売上600,000円その月の総売上
材料費72,000円ジェル・チップ・ファイル等の消耗品
原価率12%72,000 ÷ 600,000 × 100

72,000 ÷ 600,000 × 100 = 12%。これが架空サロンCの、その月の原価率(架空)です。

メニュー1品ごとに出すこともできます。たとえば1回6,000円のジェルネイルで、使う材料が720円なら、720 ÷ 6,000 × 100 = 12%。どのメニューが材料を食っているかを、この式で1品ずつ確認できます。

② 材料費に「入れるもの・入れないもの」を決める

原価率がブレる一番の原因は、人によって材料費の範囲がバラバラなことです。先に線引きを決めておきます。

材料費に入れるもの(施術に直接使う消耗品)

  1. カラー剤・パーマ液・トリートメント剤
  2. ネイルのジェル・チップ・ファイル
  3. まつ毛のエクステ毛・グルー・ツイーザー消耗分
  4. エステの化粧品・パック・使い捨てシート
  5. 業務用シャンプー・カラー用の手袋やラップ など

材料費に入れないもの(売上に連れて増えない費用)

  1. 家賃・水道光熱費・通信費
  2. 自分やスタッフの人件費
  3. 予約システムや会計ツールなどの月額費用
  4. 広告費・販促のチラシ代

家賃や人件費は「売っても売らなくてもかかる費用=固定費」、材料費は「売れた分だけ増える費用=変動費」です。この違いは固定費・変動費とはで詳しく整理しています。原価率では、まず変動費である材料費だけを分子に置くのが基本です。

店販(ホームケア商品の物販)を扱う場合は、施術と物販を分けて見ると正確です。物販は仕入れ値がそのまま原価になるため、施術の原価率と混ぜると数字が読みにくくなります。最初は「施術だけの原価率」から始めるのがおすすめです。

③ 目安の考え方(「正解値」を探さない)

「うちの原価率は高い?低い?」を知りたくなりますが、業態や扱うメニューで適正値は大きく変わります。カラーやパーマで薬剤を多く使う美容室と、材料の少ないドライヘッドスパでは、同じ土俵で比べられません。

一般には、美容室の材料費は売上のおおむね1割前後を目安に語られることが多いと言われます。ただしこれは業態・メニュー構成・仕入れ条件で幅が大きく、ひとつの「正解値」として当てにするのは避けたほうが無難です。

実用的なのは、外部の相場を探すより自店の推移を追うこと。手順はシンプルです。

  1. 毎月、材料費 ÷ 売上 × 100 を1回出す
  2. 数字をカレンダーやノートに並べていく
  3. 先月・昨年同月と比べて、上がっていないかを見る

他店の平均より、昨年の自店 vs 今年の自店を比べるほうが、ずっと打ち手に直結します。原価率がじわじわ上がっていたら、仕入れ値の上昇か、薬剤の出し過ぎ・廃棄が疑わしい、という具合です。


数字の翻訳:なぜ「材料費」が変動費の代表なのか

中小企業向けの会計の考え方では、費用を「売上に応じて増減する変動費」と「売上に関係なく一定でかかる固定費」に分けて見るのが基本とされています(中小企業庁などが示す損益分岐点分析の考え方)。

サロンに当てはめると、家賃・人件費・ツール代は、お客様が来ても来なくても毎月かかる固定費。いっぽうカラー剤やジェルは、施術1回ごとに減っていく変動費です。原価率が見ているのは、まさにこの変動費のうち「材料」の部分が売上に占める割合

だから原価率は「節約術」ではなく、売上が増えたとき・減ったときに、利益がどう動くかを読むための部品として役立ちます。材料費(変動費)の割合が分かると、「売上があといくらで固定費をまかなえるか」という損益分岐点の計算につながっていきます。原価率を単独で見るより、この流れの一部として捉えると、数字が経営判断の道具になります。


よくある誤解・NG

原価率を扱うときに、つまずきがちなポイントです。

  • 「原価率は低いほどよい」と思い込む … 必ずしもそうではありません。良い薬剤や仕上がりを削って原価率だけ下げると、満足度が落ちて再来が減ることもあります。見るべきは原価率とリピート率(再来店の割合)のバランスです。
  • 家賃や人件費を材料費に混ぜる … これらは固定費です。混ぜると原価率の意味が崩れ、メニュー比較もできなくなります。材料費は「施術で減る消耗品」だけに絞ります。
  • 1回出して終わりにする … 原価率は毎月の推移で見る数字です。1回の数字だけでは「上がっているのか」が分かりません。
  • 店販と施術を混ぜる … 物販は仕入れ値がそのまま原価になり、施術より原価率が高く出ます。混ぜると施術の実態が見えなくなります。
  • 値上げを検討せず材料だけ削る … 仕入れ値が上がっているなら、材料を削るよりメニュー価格の見直しが筋のことも多いです。原価率が上がった原因が「仕入れ値」なのか「使い過ぎ」なのかを分けて考えます。

まとめ

サロンの原価率は、次の3点を押さえれば自店の改善に使えます。

  1. 式は1本に固定する … 原価率 = 材料費 ÷ 売上 × 100
  2. 材料費の範囲を先に決める … 施術で減る消耗品だけ。家賃・人件費・ツール代は入れない
  3. 毎月出して推移で見る … 他店の相場より、昨年の自店と比べる

原価率は「安く済ませる」ための数字ではなく、売上のうちどれだけが材料に消え、いくら手元に残るかを知るための数字です。客単価・リピート率と並べて見ると、利益を残す道筋がはっきりします。


数字の集計を手で回すのが大変なら

ここまでの計算を、毎月レシートや帳簿から手で拾うのは骨が折れます。日々の会計データを記録しておけば、売上や客単価LTV(顧客生涯価値)を自動で出す仕組みもあります。

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よくある質問(FAQ)

Q. サロンの原価率はどう計算しますか?
A. 「材料費 ÷ 売上 × 100」で計算します。たとえば売上50万円で材料費が5万円なら、5万 ÷ 50万 × 100 = 10%です。ここでの材料費は、カラー剤・ジェル・グルーなど施術で直接減る消耗品のこと。家賃や人件費は含めません。メニュー1品ごとに出すこともできます。

Q. サロンの原価率の目安は何%ですか?
A. 業態やメニュー構成、仕入れ条件で適正値が大きく変わるため、ひとつの「正解値」を当てにするのは避けたほうが無難です。美容室では売上の1割前後を目安に語られることが多いと言われますが、幅があります。実用的には、他店の相場より、毎月の自店の原価率を並べて昨年同月と比べるのが確実です。

Q. 原価率は低いほどよいのですか?
A. 必ずしもそうとは言えません。仕上がりや満足度に関わる材料を削って原価率だけ下げると、再来店が減ることもあります。見るべきは原価率単独ではなく、リピート率や客単価とのバランスです。原価率が上がった原因が「仕入れ値の上昇」か「使い過ぎ・廃棄」かを分けて考えると、打ち手を選びやすくなります。


運営:株式会社art crat./SALONA編集部
小規模・個人サロン、自費の治療院の経営・集客・ツール選びに、現場の手順で具体的に答えるメディアです。
公開日:2026-06-11/最終更新日:2026-06-11

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