経営の数字・お金

回数券「初回有料・2回目以降無料」をシステムで管理する方法

9分で読める

「初回だけ有料・2回目以降無料」をメニューで分けると、残数が崩れやすい

「初回はお金がかかる、2回目以降は無料」。こうした“混在する券”を扱うサロンは少なくありません。けれど、この仕組みを 有料メニューと無料メニューに分けて手で管理すると、来店のたびに「今回はどっち?」と判断が要り、残数がどんどんズレていきます。

この記事でわかることは3つです。

  • なぜ「初回有料・2回目無料」を手動で組むと破綻するのか
  • メニューを1本に集約し、回数券+残数で回す設計の考え方
  • 来店ごとの実務フロー(購入記録→自動消費→残数確認)

結論を先に言います。専用の「初回有料・2回目無料」ボタンを探すのではなく、施術メニューを1本にまとめ、回数券(5枚綴り・10枚綴りなど)の券種設計に落とすのが運用の勘所です。券を増やすほど会計と残数管理は破綻します。寄せる方向は「1メニュー+残数」です。

なぜ手動の「有料券・無料券」運用は破綻するのか

破綻の原因は、ひとつの施術を 複数の入れ物で管理してしまうことにあります。

「初回有料・2回目無料」を素直に作ろうとすると、多くのオーナーはこうします。

  1. 通常メニューを価格 ¥0 にしておく
  2. 「お金がかかる券」と「かからない券」を別々のチケットとして作る
  3. お客様が来るたびに、今回はどちらの券を切るか手で判断する

ここに3つの穴が空きます。

  • 二重管理: 同じ施術に券が2種類あるので、台帳上で同じ内容が重複します。
  • 残数のズレ: どちらを何枚使ったかを毎回正確に記録しないと、残数が合わなくなります。
  • お客様の誤解: 何回目かをお客様自身が把握していないことが多く、「次から有料」と気づかずに無料側のメニューを選んでしまう事故が起きます。

ネイル系サロンのオーナーAさん(仮名)も、同じ壁にぶつかっていました。前のシステムでは「初回有料・2回目以降無料」という回数の区別ができず、メニューを ¥0 にしておいてチケットに飛ばす形を手作業で組んでいたそうです。その結果、お客様が「本当は次からお金がかかるのに」と気づかないまま予約してしまうことがあり、「これは良くない」と感じて券種をきちんと管理できる仕組みへ乗り換えを検討した、という経緯でした(SALONA利用サロンへのヒアリングに基づき匿名化)。

手で気をつければ防げる、という話ではありません。入れ物が2つある時点で、ズレる余地が構造的に残るのです。

解決の型:メニューを1本に集約し、回数券+残数で回す

考え方はシンプルです。施術メニューは 1本に統一します。そして「初回は有料」「2回目以降は無料」という値の動きを、メニュー側ではなく回数券の運用で表現します。

ここで大事な前提を1つ。SALONA に「初回有料・2回目無料」という名前の専用設定やトグルがあるわけではありません。メニュー設計と回数券の運用を組み合わせて実現するやり方です。仕組みを正しく理解しておくと、業態が変わっても応用が効きます。

価格設計の落とし方は次のとおりです。

  1. 施術メニューは1本にする(有料用・無料用に分けない)。
  2. 初回分は通常会計で受け取る。定価そのままです。
  3. 2回目以降は回数券で ¥0 計上する。あらかじめ「5枚綴り」などの券種を作り、お客様に紐づけて購入記録を残しておきます。

こうすると、お客様から見えるメニューは常に1つ。店側は「初回は普通に会計」「以降は券を1枚切る」だけで済みます。判断の分岐が消えるので、残数がズレる余地そのものが小さくなります。

手動運用と「メニュー集約+回数券」運用の比較

観点有料券・無料券を手で分ける運用メニュー1本+回数券で回す運用
管理する対象同じ施術に券が2種類施術メニュー1本+券の残数
残数のズレ来店ごとに手記録、合わなくなりやすい1来店1枚を自動消費、ズレにくい
会計の見え方無料分も売上が立たず把握しづらい購入時に全額計上、消費は ¥0 で履歴に残る
お客様の予約体験何回目か分からず誤選択が起きるメニューは常に1つ、券で予約できる

「全部込みでまとまった金額の特化型」のように見せる必要はありません。大切なのは、入れ物を1つに減らすことです。

来店ごとの実務フロー

実際の運用は、購入の記録を1回入れたあとは「来店ごとに1枚切る」だけです。

  1. 購入を記録する:回数券を販売したら、その記録をお客様に紐づけて1回だけ入れます。たとえば5枚綴りを購入したら、その時点でお客様の残数が「5枚」になります。販売金額はこの購入時にまとめて計上されます。
  2. 来店ごとに1枚消費する:会計(売上入力)で対象メニューを選ぶと「回数券で支払う」の案内が出ます。オンにすると残数が1枚減り、基本メニューの売上は ¥0 で記録されます。5枚が4枚、3枚…と自動で減っていきます。
  3. 予約の段階で宣言もできる:予約台帳のチェック、またはお客様自身の予約画面で「回数券を使う」を選べます。すると予約に「回数券利用予定」と表示され、会計のときに最初からオンの状態で開きます。

ここで誤解しやすいのが「全部無料になる」という読み違いです。回数券で ¥0 になるのは基本メニューの定価分だけです。オプションメニューや指名料は回数券の対象外で、通常どおり計上されます。たとえば回数券で来店した日に「トリートメント追加 ¥500」と「指名料 ¥1,000」が付けば、その日のお会計は ¥1,500 になります。

「初回有料・2回目無料」という値の動きを、この 1枚消費の積み重ねで表現するわけです。

残数の確認・調整と、有効期限の考え方

残数は2つの場所から見えます。

  • お客様側:LINE や Web のマイページで、残り回数と有効期限を自分で確認できます。
  • 店側:顧客カルテの回数券欄で、残数と利用履歴を確認できます。

途中加入のお客様にも対応できます。既存顧客のカルテに回数券を紐づけ、残数の手動調整や有効期限の変更(温情での延長など)が可能です。ただし、この 手動調整と失効日の変更はオーナー・管理者のみが操作できる設計です。残数はお金に直結するので、誰でも触れるようにはしていません。

別のネイル系オーナーBさん(仮名)は、既存のお客様に回数券を後から適用できるかを気にされていました。カルテに紐づけたうえで「調整」から残数を編集でき、予約のときにはお客様自身が回数券で予約できる、という運用を確認しています(SALONA利用サロンへのヒアリングに基づき匿名化)。途中から券を導入したいサロンでも、過去のお客様を取り残さずに移行できます。

よくある失敗とNG

  • 券を業態ぶん作り込んでしまう:「平日券」「指名なし券」「初回券」と種類を増やすほど、結局どれを切るかの判断が戻ってきます。まずは1メニュー+1〜2種の券に絞るのが安全です。
  • ¥0 計上を「売れていない」と勘違いする:消費時の ¥0 は「無料サービス」ではありません。売上は購入時にまとめて立っています。月次では「回数券タブ(販売額)」と「日々の ¥0 消費」を分けて見ます。混同すると、売れているのに売上が落ちたように錯覚します。
  • 有効期限を決めずに無期限で売る:回数券は法律上「前払式支払手段」(お客様から前もって預かるお金、の一種)に該当する場合があります。発行から6ヶ月未満の期限を設定したものは資金決済法の対象外ですが、無期限・長期の券を多く売る場合は未使用残高に関する義務が生じることがあります。長期・無期限を多く扱うなら、専門家にご相談ください。
  • 会計の前受金処理を後回しにする:回数券の売上は「都度払い」と分けて捉えるのが基本です。会計面(前受金)の整理は、回数券は「前受金」|都度払いと分けて管理する方法(整骨院の回数券は「前受金」)にまとめています。

業態別の差分

  • ネイル・まつげ・アイラッシュ:有料/無料の券が混在しやすい代表業態です。「初回はオフ込みで有料、リペアは券で」のような設計が多く、メニューを1本に寄せる効果がそのまま効きます。
  • 美容室:トリートメントやヘッドスパなど、回数で通ってもらう前提のメニューと相性がよい形です。カット定価+オプションの構造を崩さず、基本メニューだけ ¥0 にできます。
  • 整体・整骨院などの治療院:自費の施術回数券で同じ設計が使えます。会計上は前受金の扱いになるため、効果や改善を断定する表現は避け、券の運用と会計を分けて整える視点が大切です。

まとめ

「初回有料・2回目無料」を扱う鍵は、専用機能を探すことではありません。

  • 施術メニューは 1本に集約する。
  • 初回は通常会計、以降は 回数券で ¥0 計上する。
  • 来店ごとに 1枚自動消費、残数はカルテとマイページで確認する。
  • 残数調整・失効変更は オーナー・管理者のみ、有効期限は資金決済法も意識して決める。

入れ物を1つに減らすだけで、来店ごとの判断とズレが消えます。手動の混在運用に限界を感じているなら、券の設計から見直してみてください。

回数券の残数を予約・会計と連動させて自動で減らす運用は、SALONA でも無料で使えます(会員証機能をオンにしているのが前提です)。手動の残数管理から離れたい方は、機能の全体像を一度ご覧ください。

SALONA を詳しく見る(30日間無料・クレジットカード登録不要)

よくある質問(FAQ)

Q. 「初回有料・2回目無料」という専用の設定はありますか?
A. その名前の専用ボタンはありません。施術メニューを1本にまとめ、初回は通常会計、2回目以降は回数券で ¥0 計上する、というメニュー設計と回数券の運用で実現します。

Q. 回数券を使うと、その日の支払いは全部 ¥0 になりますか?
A. ¥0 になるのは基本メニューの定価分だけです。オプションメニューと指名料は回数券の対象外で、通常どおり計上されます。たとえば指名料 ¥1,000 が付けば、その日のお会計は ¥1,000 です。

Q. すでに通っているお客様にも、途中から回数券を適用できますか?
A. できます。既存顧客のカルテに回数券を紐づけ、残数の調整や有効期限の変更が可能です。ただし残数調整・失効日の変更はオーナー・管理者のみが操作できます。

運営:株式会社art crat./SALONA編集部
公開日:2026-06-26 最終更新日:2026-06-26
本記事の一部は、SALONA利用サロンへのヒアリングに基づき匿名化して掲載しています。

この記事をシェア

XでシェアLINEで送る