サロンの領収書は手書き不要|発行のやり方と送る方法・インボイス対応
「領収書ください」に、手書きなしで応える
会計のあと「領収書もらえますか」と言われて、市販の複写用紙を取り出す。宛名を書き、但し書きを書き、金額を書き、控えを1枚はがして箱にしまう。この一連の作業を、来店ごとに手作業でこなしているサロンは今も多いはずです。
この記事でわかることは次の3点です。
- サロンで領収書を発行するやり方(手書き・市販用紙を使わずスマホやPCで出す手順)
- その場で渡す方法と、あとからメール・LINEで送る方法
- インボイス制度後の領収書に何を書けばよいか(登録番号・税率区分の書き方)
結論:領収書はスマホ・PCで発行し、その場で渡すか後から送る
先に答えです。いまは複写用紙も手書きも使わず、スマホやPCの管理ツールで領収書を発行できます。発行した領収書はPDFにできるので、その場で見せて渡すか、印刷して手渡すか、あるいはお客様にメールやLINEで閲覧用リンクを送る、という選び方になります。
インボイス制度が始まってからは、領収書に「登録番号」と「税率ごとの区分」を書き添える必要が出てきました。ただしこれは一度発行元情報を設定しておけば、毎回書く手間はほぼ発生しません。
以下では、市販用紙の3つの手間を確認したうえで、発行のやり方・渡し方・インボイス対応の順に手順で解説します。
市販用紙・手書きが生む3つの手間
複写式の領収書用紙は安く手に入りますが、来店のたびに次の3つが積み重なります。
1. 宛名と但し書きを毎回手で書く
「上様」で済む方もいれば、会社名でお願いします、という方もいます。手書きだと会社名を聞き取り、正しい字で書く手間がかかります。書き損じれば1枚無駄になります。
2. 金額と消費税の計算を目視でやる
税込・税抜、内税・外税。特に自費と店販が混ざる会計だと、いくらの領収書を出せばよいか、電卓を打ち直す場面が出てきます。
3. 控えの保管がかさばる
複写の控えは物理的に箱やファイルにたまります。確定申告のときに「あの月のあの人の分」を探すのは骨が折れます。控えを紛失すると、いくら発行したかの記録も消えます。
このうち特に効くのが3番目です。領収書は「発行して終わり」ではなく、控えを残して確定申告まで持ち越す書類だからです。
サロンでの領収書発行のやり方(3つの作成方法)
ここからは、SALONA(サローナ)を例に、管理ツールで領収書を発行する手順を説明します。作成方法は場面に応じて3つあります。
① 売上データから作成する(いちばん速い)
その日の会計をすでに記録している場合、これが最短です。
- 期間とお客様の名前で売上データを検索します。
- 領収書にしたい会計にチェックを入れます。
- 金額が自動で計算されます。電卓は不要です。
会計記録をそのまま領収書に変換するイメージです。金額の打ち間違いが起きにくいのが利点です。
② 請求書から作成する
法人のお客様に月末まとめで請求書を出している場合、その請求書を検索して選ぶと、宛先と金額が領収書に自動転記されます。請求書と領収書で金額がずれる、という事故を避けられます。
③ 手動で作成する
売上記録を使わず、宛先・金額・但し書きを直接入力する方法です。イレギュラーな会計や、記録前に急いで発行したいときに使います。
入力する項目
どの方法でも、発行時に入力・確認するのは次の項目です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 宛名・敬称 | 「上様」や会社名+「様/御中」 |
| 金額・税率 | 内税/外税を選ぶと消費税は自動計算 |
| 但し書き | 例:「施術代として」 |
| 支払方法 | 現金・カード・電子マネー等から選択 |
発行後はPDFとしてダウンロードできます。詳細画面の「PDFダウンロード」から出力できるので、その画面をお客様に見せる、印刷して渡す、といった使い方ができます。
その場で渡す・あとから送る、2つの届け方
領収書の届け方は大きく2通りです。
A. その場で渡す
発行画面をそのまま見せる、またはPDFを印刷して手渡します。目の前で完結させたいお客様に向きます。
B. あとからメール・LINEで送る
「あとでいいです」と言われたときや、退店後に「やっぱり領収書ほしい」と連絡が来たときの届け方です。SALONAでは領収書の詳細画面から「顧客に送信」を押し、メールかLINEを選べます。
- メール送信 — 領収書の閲覧用リンクをメールで送ります。お客様はリンク先で領収書を確認し、PDFの保存・印刷ができます。顧客カルテにメールアドレスがあれば自動で入り、なければその場で入力できます。
- LINE送信 — 閲覧用リンクをLINEで送ります。こちらは条件があり、「売上データから作成し、LINE連携済みのお客様が紐付いた領収書」のみで使えます。誰でもLINEで送れるわけではない点は正直にお伝えしておきます。
いずれもログイン不要の閲覧用リンクを送る仕組みで、リンクの有効期限は発行から30日間です。送った履歴は領収書の詳細画面に残るので、「送ったかどうか」を後で確認できます。なおLINE送信は店舗の公式アカウントの無料通数(月200通)を1通消費します。
印刷して郵送する必要がないので、「領収書だけのために来店」といった手間もなくなります。
インボイス制度後の領収書に書くこと
ここが2023年10月以降に増えた部分です。適格請求書発行事業者として登録している場合、お客様が仕入税額控除を受けるために、領収書に決まった事項を書く必要があります。
サロンのように、不特定かつ多数のお客様に施術を提供する事業では、宛名を省いた「適格簡易請求書」の形で交付できると考えられます。適格簡易請求書とは、記載事項を簡易にした請求書・領収書のことです(国税庁「インボイス制度に関するQ&A」問58)。
適格簡易請求書に必要な記載事項
国税庁のQ&Aによると、適格簡易請求書の記載事項は次のとおりです。
- 発行者の氏名または名称 および登録番号(T+13桁)
- 取引年月日
- 取引の内容(軽減税率の対象がある場合はその旨)
- 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)
- 税率ごとの消費税額 または 適用税率(どちらか一方でよい)
通常の適格請求書との違いは2点です。宛名(書類の交付を受ける相手の氏名・名称)が不要なこと、そして消費税額と適用税率はどちらか一方の記載でよいことです(国税庁 問58、根拠:消費税法57条の4第2項・同法施行令70条の11)。
サロンで実務上いちばん増える手間は「登録番号を入れる」ことです。SALONAでは、設定 →「請求書・領収書設定」で適格請求書発行事業者登録番号(T+13桁)を一度登録しておくと、以降のPDFに自動で表示されます。毎回手で書き足す必要はありません。税率区分も、内税・外税を選べば税額が自動計算されて反映されます。
注意: インボイスに登録すべきか・課税事業者になるべきかの判断は、お店ごとに大きく変わります。免税事業者のままなら登録番号の記載自体が不要です。登録の是非や自分のケースの扱いは、税理士や所轄の税務署に相談してください。この記事は一般的な情報の整理です。登録するかどうか自体を迷っている方は、あわせて「個人サロンのインボイスはどうする?2026年9月の節目と登録の判断」もご覧ください。
控えの保管と、確定申告への橋渡し
複写用紙の時代は控えを箱にためていましたが、ツールで発行すると発行履歴がそのまま残ります。「いつ・誰に・いくら」の領収書を出したかが一覧で見返せるので、月末や年末の確認がしやすくなります。
ここで一点、正直にお伝えします。SALONAは会計ソフトではありません。領収書を発行し、記録を残し、控えを見返すところまでを担いますが、そのデータが会計ソフトに自動で流れて仕訳される、確定申告書が出来上がる、といった機能はありません。確定申告の作業そのものは、これまで通り会計ソフトや税理士と進めることになります。発行の手間と控えの保管を軽くする道具、と捉えてください。
なお経費として何が落とせるかを整理したい方は、「個人サロンの経費一覧|確定申告で落とせるもの・迷いやすいもの」も参考になります。
よくある失敗と注意点
- 登録番号を設定せずに発行してしまう — インボイス登録済みなのに登録番号のない領収書を渡すと、法人のお客様が仕入税額控除に使えず、後で再発行を頼まれます。最初に発行元設定を済ませておきます。
- 但し書きを空欄のまま渡す — 「施術代として」など具体的に書いておくと、お客様の経理処理が通りやすくなります。空欄や「お品代」だけだと差し戻される場合があります。
- 同じ会計で二重に発行する — 手書きと管理ツールを併用していると、同じ会計に対して領収書を2枚出してしまう事故が起きます。発行方法は一本化しておくと安全です。
- 「上様」を安易に使う — お客様が経費精算に使う場合、宛名が「上様」だと社内で通らないことがあります。会社名でよいか一言確認する習慣をつけると親切です。
業態別の注意点
領収書の実務は業態を問わず共通ですが、場面には違いがあります。
- 美容室・アイラッシュ・ネイル — 現金とキャッシュレスが混ざりやすい業態です。支払方法を選べる発行方法だと、実態に合った領収書が出せます。
- 整体・整骨院などの治療院 — 自費メニューの領収書は、医療費控除の対象になるか等をお客様から聞かれることがあります。判断はお客様側の税務の話なので、店として断定せず「税務署にご確認ください」と案内するのが無難です。但し書きは施術内容に沿って具体的にしておきます。
- 法人客が多いお店 — 月末まとめ請求のお客様には、請求書から領収書を作る方法が向いています。金額のずれを防げます。
まとめ
サロンの領収書は、いまは手書きも市販用紙も使わずに発行できます。
- 売上データ・請求書・手動の3つの方法で発行し、金額は自動計算できる
- その場で渡すほか、メール・LINEで閲覧用リンクを送れる(LINEは連携済み顧客に紐づく領収書のみ・リンク有効期限30日)
- インボイス対応は登録番号(T+13桁)を一度設定すればPDFに自動表示。宛名は簡易請求書なら省略可、税額か適用税率はどちらか一方でよい
- 登録の是非や個別の税務判断は税理士・税務署へ
複写用紙をはがして控えを箱にためる作業から、そろそろ手を離してもよい頃かもしれません。
よくある質問
Q. 手書きの領収書はもう使えないのですか。
A. 手書きでも、必要な記載事項がそろっていれば適格簡易請求書として認められます(国税庁 問58-2参照)。ただし登録番号や税率区分を毎回手で書くのは手間なので、管理ツールで発行するほうが安定します。
Q. インボイスに登録していない場合、領収書に登録番号は要りますか。
A. 要りません。免税事業者のままなら登録番号のない従来どおりの領収書で問題ありません。登録番号を書けるのは適格請求書発行事業者として登録した場合だけです。登録の是非は税理士・税務署にご相談ください。
Q. お客様が退店したあとで「領収書ほしい」と言われたら送れますか。
A. メールやLINEで閲覧用リンクを送れます。お客様はリンク先で領収書を確認し、PDFを保存・印刷できます。リンクの有効期限は発行から30日間です。
運営:株式会社art crat./SALONA編集部
公開日:2026-07-05/最終更新日:2026-07-05
参照:国税庁「インボイス制度に関するQ&A」(問58 適格簡易請求書の記載事項/問24 適格簡易請求書の交付ができる事業)。本記事は一般的な情報の整理であり、個別の税務判断については税理士・税務署にご確認ください。
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